筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

歩行指導

1.小学部の歩行指導

 小学部の歩行指導は、外界への興味・関心や移動する喜びを育てながら、「教室から徐々に歩行範囲を広げ、白杖や保有感覚を上手に利用しながら、安全で能率的な歩行の基礎を培う」ことを目標としています。

 児童の歩行能力に応じて、白杖を導入して基礎的な操作技術を練習するとともに、歩行運動や環境認知、地理的空間概念、歩行に関する基礎的な知識などを養っていきます。

発達領域間の調整

  • 自分の体やその動きの理解、方向や位置関係、バランスの取れた歩行姿勢などを指導していきます。

歩行能力の基本

  • 教室、校舎内、敷地内など学校の様子を理解できるようにします。
  • 教室内や各教室の配置を理解するために、積み木模型などを利用しながら歩行地図の基礎指導を行います。

環境構造と歩行地図の理解

  • 校内や学校近辺の安全な道路で、白杖を利用したひとり歩きの力を徐々に高めていきます。白杖の基礎的操作技術の定着、歩行環境の理解、簡単な買い物等を通して社会性やマナー等を指導していきます。
  • 立体コピーやサーモフォームで作成した触地図を使い、歩行地図の指導を行います。

白杖によるひとり歩行

  • 地下鉄有楽町駅・JR池袋駅の構造理解、電車やバス等といった交通機関の乗降練習をします。また、交通機関を利用した通学路の往復練習を通して、保護者の協力も得ながら、より実践的な白杖によるひとり歩きができるようにしていきます。

2.中学部の歩行指導

 中学生は発達途中の段階であるので、概念形成や歩行経験のより一層の積み重ねが求められます。そこで、学校周辺だけでなく、住宅街、商店街、駅構内などさまざまな環境を歩くことによって、その環境内で手がかりとして活用できるものや空間内の位置関係を理解する上で共通する構造などについて学びます。また、場面に応じて安全を確保し、情報収集をする上での基本的な白杖操作について実践力を高められるようにしています。なお、指導時期は、原則、1,2年時になります。

 1年生は、学校周辺を利用して、白杖操作技術の習得、保有視覚を含めた諸感覚の活用、確実な道路横断、基準点や軸に基づく経路の理解と目的地の発見などに取り組んでいます。通学生については、入学当初、必要に応じて登下校時に通学ルートの指導を行っています。

 2年生は、場面に応じた適切な白杖操作の習得、諸感覚の効果的な活用、交通機関の利用、帰省ルートの習得、援助依頼の方法などに取り組んでいます。

 弱視の生徒に対しては、個々のニーズに応じつつ、保有視力や単眼鏡などの弱視補助具の活用、白杖の理解と基本的操作、地図の理解、目的地の発見などを通して、安全な歩行方法に取り組んでいます。

駅構内模型白杖と様々な石突き

3.高等部以上の歩行指導

 高等部の生徒は、歩行指導を継続的に受けてきており、自分なりの歩行方法や方略をすでにもっている場合もあります。そこで、歩行の基礎的能力の再確認と向上に加え、交通機関の利用を中心とした応用歩行に取り組んでいます。それは、ルートの学習にとどまらず、空間の理解や諸感覚を用いた手がかりの活用を通して、他の場面に応用可能な「予測と確かめに基づく歩行」の力を高めることでもあります。

 歩行を通して、一人で安全に移動できる力は、大きな自信にもなります。学校周辺の住宅街、交差点のある大通り、駅周辺の繁華街、バスや電車の利用など発展的な指導内容と共に、生徒の希望にも柔軟に対応できるように配慮しています。また、在学途中で、急激に視力低下をきたした生徒には、緊急性に応じて、特別カリキュラムを組んで対応しています。

 中学部高等部とも、低視力弱視生に対しては白杖の目的を説明し、操作方法を指導する他、視力の程度に応じた視覚に代わる他の感覚機能の有効な活用を指導しています。

 専攻科では、希望に応じて歩行指導を行っています。特に、中途で視覚障害になった生徒の場合には、歩行そのものに自信が持てなかったり、慣れない環境を歩くことに強いストレスを感じたりします。そこで、聴覚や触覚情報を手がかりとして活用できるようになること、白杖を場面に応じて適切に操作できること、交通機関を安全に利用できること、他人に援助を依頼できることなどに取り組んでいます。生徒の進捗状況に合わせ、あせらずに、自信を持って安全に歩けるように対応しています。

2014/02/21