筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

情報処理(パソコンを中心とした情報機器)

 自立活動で行う情報処理の分野では、情報機器を手段として活用し、個々のニーズに応じて学習・生活環境に役立て、生きる力を高めることを目指して取り組んでいます。
 コンピュータの基本的知識・操作方法だけでなく、支援技術としてスクリーンリーダー(画面音声化ソフト)、点字ディスプレイ、弱視者向け画面設定などに対する理解と実践が求められます。
 以下、中学部・高等部における情報処理の扱いとその観点について述べます。


中学部

 自立活動全般において情報処理は大きな柱ですが、中学部では歩行、文字(点字・墨字)、ADLなど、体の動きや空間での位置関係理解、正確な表記、手指の巧緻性や道具の適切な利用、見通しを持った作業手順など、具体的な体験に比重を置いています。従って、情報処理は、そのバランスの中で位置づけをしており、個々の状況に応じながら、原則として、3年生から授業を行っています。
 中学部では、パソコン上での文字処理を中心に取り組んでいます。中学部3年次に、ワープロ指導を導入し、漢字仮名交じり文で正しく文章を書くことを目標の一つとして取り組んでいます。
 点字使用生徒では、はじめに、点字と墨字の表記上の違いについて理解し、その上でフルキー入力で正しく書き表すことを目指します。この「正しく書く」にあたっては、タイピング練習を繰り返すだけでなく、書いた文字を音声でしっかりと確認し、自分で間違いを直せることが必要になります。そのため、音声のスピードや音量の調節、カーソル位置の確認や詳細読みを活用しながら、自分で確認する習慣がつくように取り組んでいます。  また、点字ワープロでは、6点(パーキンス)入力で点字文書の作成を行います。点字ディスプレイを有効に活用しながら、レイアウトを整えた文書を作成しています。さらに、国語・英和などの辞書を活用して、効率的に目的の単語を調べます。
 一方、Windowsそのものは、視覚的インターフェース(GUI)により、音声や点字で処理する上で、必ずしも効率の良いものではありません。そこで、実際の操作にあたって、メニューやダイアログボックスなどの構造を理解し、全体像をイメージした上で、操作との一致を図っていくことが求められます。そのため、基本的構造を表すスタートメニューやメニューバーなどの点図を作成して理解を促したり、基準点を設けて確実に音声を聞き取ることなどを大切にして取り組んでいます。
 墨字使用生徒では、Windowsのもつアクセシビリティ機能を有効に活用する方法を学習します。画面色を変更してまぶしさを軽減したり、文字サイズの変更、カーソルやマウスの設定により、自分で見やすい環境を整える力を高めるようにしています。また、タイピングの速さと正確さを高め、行書式・文字書式の設定を通して、レイアウト整形を含む文書作成を行っています。



点字ディスプレイ

拡大鏡

高等部

 高等部では、2年次、3年次に自立活動の選択科目として「自活情報」があります。内容は、生徒のコンピュータスキルに応じて、基礎から応用まで多岐に渡りますが、学習・生活環境を向上させる手段と方法を学ぶ場として位置づけています。  Windowsの基本構造を理解し、階層イメージに基づくメニュー構造やデータ管理、コンピュータとの対話をイメージしたダイアログボックスの理解などの基本から、各アプリケーションの操作やマルチタスクによる連携処理などを通して、実践での力を高めるようにしています。各アプリケーションでは、墨字のレイアウト整形、メールの設定や添付処理、自動点訳と点字編集、Webブラウザによる効率的な情報取得、辞書や電子図書館の活用、音楽データの変換、表計算ソフトによるデータ管理と計算処理、インターネット電話(Skype)、PDFファイルやDAISYへの対応などに取り組んでいます。また、進路先を見据え、自分のコンピュータ環境を整える力を高められるように、環境設定の仕方にも取り組んでいます。
 このように、一人一人の多様なニーズにできるだけ対応しながら、情報機器の操作性を高め、学習・生活の幅を広げていけるように学習の場を設けています。

2013/12/10