筑波大学附属視覚特別支援学校のWEB

日常生活技術指導

1.中学部

 中学部では、日常生活の基本的動作や手指の巧緻性を高める取り組みを通して、安全で効率良く日常動作が行えること、自分で手順を組み立てていけることを目標に指導を行っています。
 全生徒が2年生で、最低半年間・週2時間の日常生活技術指導を受けています。授業は、生徒1~2名に対し教員1名で、生徒の使用文字別に行われています。主な内容は以下のとおりです。

指導内容 (番号は指導の順番を示すものではありません。)

  1. 日常生活用具の利用
    • 生活用具(カッター、はさみ等)の使用方法の習得
    • 紐やゴムの利用方法の理解ファイリング・印付けの方法の理解
  2. 裁縫
    • ボタン、鍵ホック付け等の簡単な裁縫の習得
    • 衣類の整理整頓・管理方法の理解
  3. 調理
    • 食器の洗い方の理解
    • 基本的な包丁操作の習得
    • 缶切りの使用方法の習得
    • 計量や熱源操作の方法の理解
作業環境の整理糸通し糸通し(卓上型)
白色まな板黒色まな板切る材料で白黒選択

 一連の作業を通して、整理整頓の方法や道具の選び方についても重点的に指導しています。こまごまとした手作業が嫌いな生徒も多いのですが、日常生活や今後の生活で困らないように、どの作業でも面倒がらずに取り組んでいます。また、できるだけでなく、仕上がりの美しさなども考えながら作業を行っています。

 中学3年生は2学期後半からテーブルマナーの指導に入ります。指導内容は以下のとおりです。

指導内容

  1. 食器の種類や食器の配置等の理解。
  2. 箸の基本操作の習得。
  3. フォーク・スプーン・ナイフの基本操作の習得。
  4. 会食の作法の理解。
  5. 本番(学外へ出て、フランス料理のフルコースを食べながら、プロの方からの指導を受けます。)

 食事は生きていくためには欠くことのできないものです。また、大人になってくると、食事は人とのコミュニケーションを取るための場にもなります。それに対応していくためには、食事の内容に応じた箸などの基本的な操作を身につけていくことが大切であり、社会に出たときには箸などが使えるというだけでなく、食事の作法に則った食事動作が必要になります。

 テーブルマナーの指導では、「食べづらいから、食べ方がわからないから食べないということ」や、「食べ方に自信がないから人前では食べない」ということが少なくなり、「好きな時に好きな物を恥ずかしがらずに食べること」、「お互いが気持ちよく食べること」ができるようになることを目的としています。もちろん、全ての食べ物に授業で対応することはできませんから、「食事動作は眼からの模倣である」ことを生徒に理解させ、保護者との外食などでも積極的に食べ方を聞くように指導しています。

2.高等部以上

  高等部以上の生徒は、今後の進路を考え、卒業後の社会生活を安全に健康的に効率よく送ることができるようになることを目的とした指導を行っています。
 普通科・音楽科は2年生から、専攻科鍼灸手技療法科・音楽科は1年生から、それぞれ2単位を選択履修することができます。生徒個人の生活に触れることが多いため、基本的にはこの授業は、教員1名に対して生徒1名で行っています。
 授業内容は、基本的には生徒との話し合いによって決めていきますが、以下のことは希望がなくても、必ず取り入れています。(番号は、指導内容の順番を示すものではありません。)

  1. 調理
    • 食器や調理器具等の選定方法や取り扱い方法の理解。
    • 安全かつ効率の良い包丁操作の習得
    • 炒める・煮る・焼く・ゆでる等の調理方法の習得
    • 電子レンジやレトルト食品を利用した調理方法の理解
    • 買い物での素材の選定方法の理解   
    • ゴミ処理の方法
    • 調理をおこなう上での便利グッズの紹介
  2. 裁縫
    • ボタン付け・ゴム通しの習得
    • 裾上げテープや洋服の識別テープの紹介
    • 衣類の整理整頓(旅行時のものを含む)・管理方法の理解
    • 服装のマナーについての理解
  3. 日常生活用具の利用
    • はさみ・カッター・穴開けパンチ等の文房具の使用方法の理解
    • 紐縛りの習得
  4. 単身生活に必要な知識の理解
    • 場に応じた掃除方法の理解
    • 電化製品の選定方法の理解
    • 入居の際に必要な知識の理解
    • 電球等の取り替え方法の理解

 その他、生徒の希望で取り入れたものには、編み物やミシンを利用した縫い物、アイロンかけ、ネクタイの締め方、ハンドライティング等があります。

 高等部以上の日常生活指導は必修科目ではないので、履修をした生徒は、苦手意識を持ちながらも、とても熱心に授業に取り組んでいます。ただし、既述した内容の全てを、生徒全員が出来るようになるかというと、必ずしもそうではありません。何度練習しても、いろいろな方法を試してみても出来ない場合もあります。そんな時は、生徒と話し合いをし、全てを自分でやろうとせずに周囲のサービスを利用することを考えます。例えば、『裁縫のボタン付けは、自分ではやらずに、ヘルパーさんやお店に頼むようにする』や、『外食時にハンバーグ等がうまく切れない場合は、同席者や店の人に依頼する』等です。
 この授業を通して、それぞれの生徒が単身生活を安全に健康的に効率良く送るだけでなく、快適に送ることができるように考えて行く力をつけていって欲しいと思います。

2014/02/21